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ホテルのケーキはなぜ違う?元パティシエ助手が語る真相

ホテルのケーキが他と違うわけ

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 "高級って感じ~""うん、やっぱりホテルは違うね!" あなたは、ホテルのデザートバイキングのケーキ、パーティーのビュッフェで出されるデザート、結婚式のときにサービスされるウェディングケーキ・・・など、ホテルで提供されるデザート・ケーキ類を食べたとき、このように感じたことがあるだろうか。  そして、その後、「この雰囲気の中で食べるからこんな気がするのかなあ」と思うかもしれない。  私はその両方が正しいと思う。ホテルで作られている、デザート・ケーキそのものも違うし、その荘厳たる雰囲気がまた、それを引き立てているのだろう。
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 なぜ私がこんなことを言えるのか、
それは私がホテルのパティシエのもとで助手をしていたからである。

どこのホテルでどんな経緯でどれだけの期間働いたのか・・・ はおいておいて(笑 
今回は他とは違うホテルデザートの真相をお話したいと思う。

 もちろん、悪いことではなくて、むしろ推奨する内容なのでこのように言えるのだが。
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 まず違うのは、材料である。

私はその前にも別のところでケーキ製造をしていたことがあるのだが、
そこと比較してホテルはケーキの材料を一切ケチらない。
他のケーキ屋がケチっているというのではない。
特に最近ではカリスマパティシエが経営しているケーキ店では
最高級の材料を贅沢に使い、洗練され、追求された、
それなのに素材の味がしっかり楽しめるケーキがたくさん見られる。

 しかしそれは年商何千万とか何億もうかっているブランド級のケーキ店
だけであり、ほとんどの店では最高級の材料を、
ましては海外から直輸入することなどとてもできないだろう。

 その点ホテルは、たとえ何千万とか売り上げがなくても、高級素材を使っている。

 なぜそんなことができるのか。

 答えは、ずばり「ホテルだから」である。
ホテルの売り上げはデザートとかそのほか料理ではなく、
婚礼、宿泊、宴会場の使用料などがほとんどである
 そういった料金が高額な分、サービスや料理の質はそれ相応の物を提供しているのだ。  

よって厨房では、旬の素材、○○直産の素材などをバンバン使って調理している。
いい物を使っているのだから、高級味になって当然である。
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私が特に違いを感じたのは生クリームである。
ケーキを食べるとき、誰でもが、スポンジ生地と生クリームの味によって
おいしいかどうかを判断すると思う。

スポンジ生地の材料なんていうのはしれている。
卵、砂糖、小麦粉、を基本とし、職人により、
牛乳、ハチミツ、バター、コーンスターチなどを配合して作る。
どこもそう変わりはないと思う。

何が決めてか、それはパティシエの実力である。

その材料をレシピ通りに混ぜれば、主婦でもスポンジは作れる。
でもふわふわとした軽い食感の生地を作るにはプロの技が要るのだ。
具体的なことは別の機会にすることにして、ケーキ職人であればたいてい
上手においしいスポンジを焼くことができるであろう。

 しかし生クリームは違う。
同じブランドの同じ製品を使えば誰でも同じ味になる。
当たり前である、が、逆にブランド、乳脂肪分の割合が違えば
味もまったく違ってくる。

この乳脂肪分だが、高ければ高いほど、値段も高い。
1リットルあたり2000円近くする。
以前働いていたケーキ店では乳脂肪分30%の生クリームが最高級であった。
一度封を開けてしまえばすぐに使い切らなければいけないが、
1mlたりとも決して無駄にするわけにはいかない。
そこであまり高額なものは使えなかったのだ。

   その点、ホテルは違う。
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脂肪分45%のミルキーでコクのある生クリームを大量に使っている。
(もちろんそのままではなくmixして程よい味に仕上げている)
もし、使い切れなさそうだったら?

加熱してパンナコッタを作り、パーティー等のデザートとして出したり、
料理担当の厨房に持っていけば、ポタージュやソースに使用できるのである。

 一般的に卵や乳製品は84℃前後でほとんどの菌が死ぬと言われている。
賞味期限が過ぎていなければ、沸騰直前まで加熱することにより、
殺菌して使用することができるのである。

 これは商品の決まっているケーキ店では難しいかもしれない。
生クリームの違いによる味の差は大きい。
ケーキ屋によっては生クリームメインのショートケーキは乳脂肪分の多い
生クリームを使用し、ムースなど混ぜ込んでしまう場合には乳脂肪分低め
にする、など使い分けているところもあるようだが、
混ぜ込んでしまったとしても、やはり違いは歴然である。

ホテルではショ-トケーキからムースやババロアにいたるまですべて同じものを使っている。

   ここにホテルならではの違いがでてくるのであろう。

 もうひとつ、チョコレートである。
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製菓用チョコレートは高い。
特にクーベルチュールと呼ばれるカカオ分の高いチョコレートはそうである。
一番良いのは、いろいろなカカオ分のチョコレートを用意し、
用途によって使い分けることであろう。
カカオ分70%にもなると、味に酸味があるため、
大人向けのケーキを作るときに相応しいだろうし、子供向けにしたいのなら、
まろやかなミルクチョコレートを使うのがいいかもしれない。

 また、70%と50%ぐらいのものをmixして深みがあるけど、
くせのない味にするのもいいと思う。  
しかし高級品であるため、普通のケーキ店では、
クーベルチュールを大量に使うことは難しい。
だからと言ってスーパーで売っている板チョコではうまくいかない。
やってみればわかるが、溶かしたときに、油分が分離してしまい、
出来上がったときの味や口当たりが格段に落ちてしまう。

 ホテルでは、有名ブランドのクーベルチュールチョコレートを
ふんだんに使用し、デザートの種類によって、配合を微妙に調整している。  

チョコレートは重要である。
日本の製菓会社(明治とか森永など)の板チョコを食べ比べてもその違いはよくわかる。
数年前から流行りだした生チョコなどは
使っているチョコレートによってぜんぜん違ってくる。
いいチョコレートを使って作った生チョコは本当においしい。
たいていのケーキ店でも生チョコには裁量のチョコレートを使っている
と思うので、多少値段は張るが、買ってみるといいだろう。
私のホテルでは、9粒で600円というかなり手頃な値段で販売していた。
しかし、どこの生チョコと比べても、おいしかった。

 私が、生チョコやチョコレートムースがこんなにおいしいと感じたのは、
そしてチョコレートにこんなにこだわりを感じるようになったのは、
ホテルで働くようになってからである。

   長々と語ってしまったが、この事実こそが、
ホテルならではの味を作っているのである。
もちろん私はすべてを知っているわけでもなければ、
皆さんと比べてケーキに対する知識がそんなに多いわけでもない。
当てはまらないケーキ店もたくさんあるはずだ。

 しかし、昔からケーキにはうるさく、たくさんのレシピ本や毎月発行
される常に最先端の情報を掲載している雑誌も読んできた。
そして何よりすばらしい腕の持ち主であるパティシエの下で働く
という体験が私を感動させたのである。
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 ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
まだまだホテルならではの違いや、ケーキを上手に作る裏技はたくさんあります。
機会があればどんどん紹介していこうと思っております。
何かリクエストがある方は知らせていただければ、
私のわかる範囲でお話したいと思います。
パテェシエに聞いてみたいことがあればメールでお知らせください。
 kaorimiyaki@hotmail.com


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